「お父さんの恋」

ずっと以前に録画したきり見ていなかったもの。
[出演]堺雅人星野真里七瀬なつみ菊池麻衣子池田成志前田吟
[作]中谷まゆみ
[演出]板垣恭一
wowowの雑誌に出ていた案内なんてすでに忘れてるし、タイトルから勝手に小津映画のようなクラシックな恋物語かと思った。
見始めてから「ああ、堺雅人が出るから録画したんだ」と思い出す。
前田吟のお父さんは結構しゃべるし、1度は歩くけれど、実は寝たきりの植物人間。母親の法事でこれまで寄りつきもしなかった長女、次女、長男が家にやってくる。そこには若くて綺麗なヘルパーさんがいて、家族の冷たい仕打ちに怒り、お父さんと結婚すると言い出すのだが…… この家族4人と、ヘルパー、それに長女の幼なじみで父の主治医の6人しか登場しない。
家族喧嘩のシーンは結構つらいものがあった。身につまされたり、ヒステリックな物言いに耳がつらくなったり。菊池麻衣子(次女)は、ちゃんと見るのは「ふたりっこ」以来のせいか、こんな役ばかりだなあと思う。経営する会社がうまくいってないみたいなのも礼子ちゃんと同じだし。長女の七瀬なつみは、ぽろぽろ本物の涙を流すのに驚いた。女優だ!
堺雅人はまさに「12のにやにやを持つ男」、こういうニートっぽい役ははまります。
前田吟、寝たきり老人役かよ……とちょっと悲しくなりますが、テーマがテーマだけに、別にさほど老けさせてはいません。元気で若いおじいちゃん。
ヘルパーの星野真里は知らない人だったけど上手だった。怒鳴るシーンでも、声がキンキンしないのがいいね。菊池麻衣子はキンキンしちゃうのよね。嫌いじゃないんだけど。
先生の池田成志も知らない。でも、昔の不良姿とか、いろいろな扮装(?)が楽しかった。長女のツッパリ姿もすごかった。懐かしい、と感じてしまう80年代中学生。
回想への入り方など、演劇らしさにあふれていて、本当に久々に見た演劇だったので「ああ、演劇ってこういうことも出来るんだったよね」と思った。
ストーリーも、良かった。説教くさくなりがちなテーマを、笑いですくっていた。
ふわりとしたラストも好み。