ポーラ美術館

火曜、水曜と箱根へ行ってきました。
ポーラ美術館は最近続けて評判を聞いて行ってみたかったところ。特別展にも興味があった。
ポスターにもなった黒田清輝の絵は、本当に綺麗。わたしが男なら、この人を心の人と思い定めて、生身の女には興味がなくなってしまったかもしれない、それくらい綺麗。

特別展の展示作品は、HPによると以下の通り、
高橋由一(1 点)、浅井忠(3 点)、小山正太郎(1 点)、黒田清輝(4 点)、藤島武二(8 点)、岡田三郎助(8 点)、和田英作(8 点) 、高村光太郎(2 点)、萬鐵五郎(3 点)、武者小路実篤(1点※12/6まで)小出楢重(4 点)、中村彝(3 点)、岸田劉生(10 点)、(2 点)

ほぼ毎週見ている番組にテレビ東京美の巨人たち」がある。その番組で名前を知った画家が多い。みんな一度は取り上げられている人ではないかな? もっともテレビで頭に残っているのは画家名だけで、「おお、この人も確か(テレビで)やっていたぞ。この人の名前も知っている」という感想のみで、まったく身になっておりませんが。
それにしてもみんな若死。村山槐多22歳を筆頭に、ほとんど30代で死んでいる人ばかり。
馬齢を重ねる、という言葉を、我が身を振り返って思ってしまいました。彼らに恥ずかしくないのか、と。
一方、高村光太郎は、岡野宏文さんと豊崎由美さんの『百年の誤読』で、さんざんこき下ろされていたので、つい偏見を持って見てしまった。老後の、本当になすび見たいな写真もあったし、他の短命な画家たちと比べて「ふうん」と冷たく見てしまった。

岸田劉生は、言わずとしれた「麗子像」。写真で見ると、本当に恐ろしげで、遠目にも「出た〜麗子」という感じだったのだけれど、実物を間近で見ると、意外にも子どものかわいらしさの方を強く感じた。むずかって泣く直前の子ども、不幸にしていわゆる愛らしい顔立ちではない子ども、でも、そんな子どもを見たときに「かわいくなくてかわいい!」と思うときがある。そういうかわいらしさ。岸田劉生は、モデルになってくれる人がいなくなるくらい、モデルに対して厳しい画家で、それで家族をモデルにし続けたのだという。幼い麗子が、父親のためにじっと我慢しつつモデルをやっている、そういう情景が浮かんでくる。眉や頬のあたりに現れた癇の強そうな感じが、不思議と愛らしくかんじられた。しかし、写真の麗子は、普通の意味でかわいらしい子どもで、ちょっと気の毒。

常設展では藤田嗣治の絵が良かった。やはり青ぶくれたようなかわいくない子どもの絵がいっぱいあった。うん、かわいい。自画像もあったのだけれど、裁縫をやっている様子で。お針道具の中に針を吸い付けた磁石があったのがおもしろい。子どもの着ている服のボタンの描写が、本当に「こちらから針を通してこちらに刺して……」と縫いつける様子まで思い浮かぶようなのは、やはり自分で針がもてる人だからなのだろう。
おみやげコーナー。
デュフィ(だったと思う。忘れてしまった。。。)の「パリ」という屏風仕立てになった作品がマウスパッドになっていて、あんまり綺麗で買ってきてしまった。光学マウスには使えないそうだけど、最初から飾るつもりだからOK。

雰囲気の良さそうなレストランは、込んでいて入れなかった。半券で再入場可なので、込んでいる日には、特別展を見終わった段階でレストランに予約を入れ、常設店を見ながら時々順番をチェックするのがいいのではないかと思います。

美術館から芦ノ湖へ行くバスの途中には、薄の野原。穂が白銀に輝いて、「月世界のようだ」と思う。本来薄と月は関係ないはずなのに、お月見の構図が染みついているせいか、薄の野原は月世界の光景。。。