映画「ホテル・ルワンダ」

ホテル・ルワンダ プレミアム・エディション [DVD]

つらかった。見ているのが本当につらい映画だった。
お互いに結婚したりして普通に暮らしてきたツチ族フツ族がある日突然殺し合うことになる。この映画が描いた時点では、フツ族(多数派だが社会的には不利な立場に置かれていた)が、ツチ族(少数派で優遇されていた)に対して虐殺を行うのだけれど、その後には縁族の反撃があったわけだし、こういう問題には決して終わりはない。
西側の人間は「かわいそうね」と言って忘れてしまうのだ、と映画の中で指摘される。
「映画を見た後飲もうね」と約束があった上で見ているわたしはちょっといたたまれない。
同行者は「よかった。おもしろかった」と言っていたけれど、そう言うことにも後ろめたさを感じるし、しかし、こんな屈折した感じ方にも「偽善だ」という思いが湧く。
主人公は首都キガリの一流ホテルの支配人。仕事で培った交渉力がものを言って多くの人を救うことになるのだけれど、それと同時に大きな力を発揮したのがモノ・カネ。ホテルにあった外貨、酒、たばこなどを賄賂として贈って、それで有力な将軍に間接的にせよホテルを守ってもらう。
ということは、金も力もコネもない人間は、人を救うこともできないし、おそらく自分も助からないのだ、と思う。
主人公を否定するわけではないけれど、それもまた人間社会の厳然たる事実か。

ルワンダについては以前『ルワンダ中央銀行総裁日記』ルワンダ中央銀行総裁日記 (中公新書 290)
を読んだことがあったが、これはルワンダ経済の立て直しに奮闘した人の手記。難しいところはとばして読んだのだけれど、それでも「サクセス・ストーリー」として非常におもしろかった。しかし、この本の最後は1970年頃、それから20数年で、内戦となった訳だ。
どうしてこうなってしまうのだろうか。
また、毎日新聞に連載していた曽野綾子の小説『哀歌』哀歌〈上〉 (新潮文庫) も、1994年のこの内戦をあつかっている。
ルワンダについてはもっと学ばなければならないと思う。