『小野田寛郎の終わらない戦い』

戸井十月著。
小野田寛郎の終わらない戦い

おもしろかった。
小野田寛郎は戦後29年間ルバング島に潜伏「任務」を遂行し続けていた人。
この人の帰還をテレビで見た気もしていたけれど、たぶん、勘違い。でも、わたしが小さかった頃にはまだ「横井さん」や「小野田さん」はしばしばテレビで取り上げられていたような気がする。
この人は、中野学校二俣分校を出た、諜報員として訓練を受けた人なのだ。
そして、中野学校は、「日本軍」とはまったく違った教育を施していたのだ。
玉砕はしてはいけない。場合によっては捕虜となって、工作をせよ。
日本を守るためならば、場合によっては共産主義社会主義を取り入れることもあり得る。
天皇機関説すら否定はされなかったという。

小野田さんは、けっして情報がなかったから投降しなかったのではない。それどころか、最新ニュースも知った上で、「それはアメリカの傀儡国家での出来事」と考え、作戦解除命令を受けるまでは作戦を続けなければならないと思っていたのだ。
確かに、中国国民党が台湾に亡命国家を作ったことを考えれば、どこかでアメリカの傀儡ではない「日本」が機能していると考えるのも、もしかしたらそう不自然なことではなかったのかも知れない。
中野学校、小野田さん、そして横井さんについてももっと知りたくなった。