『明日なき身』

岡田睦著。

明日なき身

明日なき身

なんでこれを読んだかというと、図書館のホームページ、新刊案内のリストを見て「恩田陸」と間違えたから。しばらくして気がついたんだけど、これもご縁かとそのままリクエストした。
なにこの生活無能力者。人間失格
ってかんじ。
1934年生まれの著者はもう老人といえば老人だから、一般的な意味で働くことはないかも知れないけれど、生活保護で借りたアパートのエアコンを掃除しないから風が出なくなる。そうすると大家さんに電話。掃除しろ、と言われるもできないからそのまま放置。一間のアパートなのに電気代が1万5千円。
5年もお風呂に入っていないからか、コンビニの女店員にさりげなく避けられる。そうすると店長さんを前に「わたしの何が嫌いですか。直しますから言ってください」と言い、すったもんだのあげく「営業妨害だ」と店長にすごまれ、コンビニ本部にまで何度も電話する。
手持ちの金がなくなったのなら、まずたばこをやめればいいと思うし、それができなくてもとりあえずご飯を炊けば、1本100円の海苔巻きを買うよりも安くお腹がふくれる。
まあ、これは小説だから、どこまで本気、あるいは諧謔かは分からないけれど、なんとも腹立たしい。
で、アマゾンの紹介を見たら、

全国民必読の書!文芸評論家・清水良典
妻に逃げられ、生活保護を受けながらも、自分勝手なダンディズムを貫いて生きる。
下流老人社会を予見する、21世紀の老人文学!
毎月、5日が“セイホ”(生活保護)の支給日。2、3日前になると、きまって金がなくなる。コインだけになり、セブン‐イレブンのむすび、最低1個100円のを、1日ひとつ喰うことになる。それも買えなくなって、何も喰わずひたすら5日を待つときもある。<本文より>
テレビなし、新聞なし、ガスなし。生活保護に頼るよりない惨めな零落のきわみで、どっこい1人の作家が生きている。(文芸評論家・清水良典)

下流老人社会だの、自分勝手なダンディズムだと言われてしまうと、これ以上何も申し上げることはございません。
(ところで、わたしの他に何人か図書館にリクエストを入れている人、「恩田陸」と間違えてませんよね)