NHKスペシャル『激流中国』:「小皇帝」の涙

以下、ヤフーニュース、「サーチナ・中国情報局」の紹介より引用。

NHKは6日、中国の小学校を支配する“成績至上主義”に葛藤する子供たちの心のうちを取材した番組を放送する。 <サーチナ&CNSPHOTO>

 NHKは6日、中国の小学校を支配する“成績至上主義”に葛藤する子供たちの心のうちを取材した番組を放送する。番組はNHKスペシャル激流中国―5年1組 小皇帝の涙―』で、1月6日(日)午後9時15分から総合テレビで放送される。

 「一人っ子」政策を実施してきた中国では親が子を過保護に育てる傾向が著しく、一人っ子たちはわがままな「小皇帝」ともいわれる。しかしその一方、親の過剰な期待が教育の過熱現象を生み出しており、それが子供たちに重い負担となってのしかかっているのも事実。学力偏重主義には中国政府も警告を鳴らし始めているところだが、今回の番組は、そんな中国の教育現場に入り込んで現在進行中の問題を浮き彫りにしたもの。

 番組の舞台は南部、雲南省。人口500万の省都昆明の公立小学校5年生のクラス。貧富の格差拡大、大学生の就職戦線の厳しさが伝えられるなかで、親たちの“よりいい学校へ進学させたい”という学歴崇拝は高まるばかり。1年生から英語を学び、数学は世界で一番難しいといわれるほどの学習レベルがそこにはある。親は子供を叱咤激励し、愛の鞭も惜しまない。学校側も成績のいい子供を多く輩出すれば評価が上がるため、教育に力を入れる。今回の『激流中国』のカメラは、そんな学校を支配する“成績至上主義”と「これでいいの?」という思いの間で葛藤する子供たちの涙を見事にとらえている(写真は番組から)。(編集担当:森村誠二)

少しでも早くうちへ帰って始めなければ終わらないほど大量の宿題。宿題をしなければ着いていけない授業。小学5年生ですでに(日本の)中学レベルの授業をしているが、一方で全くついて行けず、机に伏すだけの生徒もいる。
親は子供の尻を叩き続け、39度の熱の出た次の日、学校こそ休ませたものの、熱が下がると宿題をやらせる。その子なりにいい点を取っても、それが91点でも、まだ××君より悪い、と満足しない。言うことを聞かないと行っては孫の手でぶつ。
また、職業紹介所へ子供を連れて行き「ほら見てご覧、学歴がないと仕事もないの」と見せつける。
先生は先生で、成績は今は悪いけれど医者になりたい、という子に、「医者は命を預かる仕事だから、成績が悪ければなれないの。あなたの成績ではだめよ」と言い切る。正論といえば正論だけど、小学5年生だもの、これから伸びる余地だっていくらもあるだろう。
遠足の班は、生徒が自分たちで集まって作るのだけれど、成績順に分かれてしまい、一番成績の悪い子はどこにも入れてもらえない。3年生までは遊んでいた友達も、父親に「朱に交われば赤くなる」と言われ、つきあわなくなってしまう。
番組の最後、子どもたちが親の期待に押しつぶされそうになっていることを知った先生が、親たちを集め、子どもたちの意見を聞いてもらう会をもうける。

「点数で判断しないで」
「他の子と比べないで」
子どもたちは涙ながらに訴える。しかし、
「大人だって会社で点数で評価されているんだ。その社会ではもっと厳しい競争が待っているんだ」
「他の子と比べないでどうしてレベルを正しく判断できるの」
などと言う大人たちに論破され、子どもたちはついに黙るしかなくなる。


テレビカメラが入っていても悪びれず主張し、尻を叩き続ける親たちはあるいみあっぱれ。しかし、子供が10歳そこそこで燃え尽きてしまったら、どうするんだろうか。それともこのまま燃え尽きずに走り続けることができるんだろうか。

わたしは日本語学校で講師をしている。そこに来る学生たちは、無論、頭のいい学生もいるが、厳密には中国の受験戦争で敗れてきた子たちなのだろう。
授業中ぼーっと、先生からも放っておかれたのかな、という人もいる。あるいは、番組の中のある男の子のように、頑張って頑張っていい成績を取ってきたけれど、伸びきるところまでのびて成績が落ちてきた子、そんな子かなという人もいる。
この番組を見ながら、学生たちの顔が浮かんできて切なくなった。

(一方、今年の受験状況を見ると、留学生&私立大学に限って言えば全入状態ですね。不合格になったのは、学部や学校を選んだ成績優秀な学生ばかり、という状況。まあ、日本人でも、過去形が分かれば英語は上級クラス、という学校もあるそうだから、日本人も選ばなければ全入か。それはそれでどうなんでしょう?)