『アフリカ苦悩する大陸』

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著者は、日本滞在歴もある「エコノミスト」の記者。南アフリカを中心に7年間アフリカを取材したという。
なぜ、アフリカは苦悩し続けるのか。
私腹を肥やすことしか考えていない政治家。多少の善意はあっても、能力に欠ける政治家。(パンが必要だ、となればただ「パンの値段を下げろ」と命令するだけとか)
著者は資本主義こそがアフリカを立て直す道だと考えている。アフリカでは財産権が確立していないために、何か事業を興したくても資金を調達できない。だから、家を担保に金を借りることができるようになるべきだという。
また、自由競争が大事だとも。日本などが自国の農業を守るためとして、高い関税をかけたり、農家に補助金を出しているのは間違っている。それぞれの国が得意なものを作る方が、お互いのためなのだ、とも。
戦争などが起こったときに食糧自給率が低いと心配? この核戦争の時代に、国境を封鎖されることがそれほどの問題なのか?

現地でさまざまなことを見てきた人に対して言うべきことではないけれど、この資本主義や自由競争に対する信頼は「無邪気だな」と思う。
正しい運用をなしえた国が皆無といっていい以上、共産主義社会主義に未来はないのかも知れないけれど、資本主義、とくに自由競争社会はそれほど万能なのだろうか。
たまたま、相次いで読んだ本が『ルポ貧困大国アメリカ』であったために、余計に著者が無邪気に思えた。