『世界無宿の女たち』世界無宿の女たち作者: 大場昇出版社/メーカー: 文藝春秋企画出版部発売日: 2008/06/01メディア: 単行本 クリック: 8回この商品を含むブログ (1件) を見る

あまりにインパクトのあるタイトルに、図書館の新蔵書リストを見て、すぐ予約をした。

第1章 女侠・シベリアお菊
第2章 三大陸を渡り歩いた国際派
第3章 半世紀ぶりに帰国を果たして
第4章 ロシア艦隊の母
第五章 シアトルの娼婦から評論家へ
第五章 オランダ人妻の「から帰り」
第七章 長崎異人館の女主人
第8章 シンガポール在留邦人の救世主

と、各章のタイトルを紹介するだけで、彼女たちのすごさが分かる。文字通り世界をまたにかけている。
彼女らは、ある者は進んで、ある者はだまされて異国で自分の身体を売る身になった女たちだ。そう言った女たちの大半は、あまりにも若く、誰にも顧みられることもないまま死んでいった。(長患いをした女は、まだ息のあるうちにワニのえさに売られたと言う。南方での話。)
しかし、中には彼女らのようにたくましく生きていった人たちもいたのだ。

内容については、ぜひ本書を読んでもらうとして、「へえ」と思ったことの覚え書き。

明治四年には、長崎から上海、浦塩ウラジオストック)に海底通信ケーブルが通された。それは、長崎東京間にケーブルができるよりも早かった。

天草のあたりからは海外にでる女が多く、特に浦塩に行くものは多かった。だから、「長崎県浦塩」で郵便が届いた。

海外へは、まず女たちが出て行った。その後、彼女たちが使うものを扱う商人などとして男たちが進出した。

それから、第五章の山田わかは、夫嘉吉が悄然としていると「何があったかわかりませんが、私という妻を得たことに満足していただけませんか」と言い、そのひとことで嘉吉は元気を取り戻したという。一度はそんなことを言ってみたいが、うっかり言ってしまったら、相手が世をはかなんでしまうかも知れない。。。。

それにしても、「世界無宿」っていい言葉だなあ。