東京国立博物館「若冲と江戸絵画」展

いやあ、ものすごい人だった。まもなくお盆のせいか、まもなく終わってしまうせいか?
もっとも一番人気は東京都美術館の「ペルシア美術展」で、上野駅からまっすぐ行列が続いている感じだった。

テレビ東京美の巨人たち」でやっていたのを見たので、余計に楽しかった。
しかし、全体を見ての感想は「こんなコレクションをできる身分になってみたい。プライスさん(展示絵画はみな「プライスコレクション」)、あんた何者?」という至って俗っぽく、かつひがみっぽいもの。
大学卒業記念に、車を買おうと思っていたお金で掛け軸を買うなんて、別世界の話だわ。

さて、気を取り直して、
おもしろかったのはいくつもあった虎の絵。当時は、中国伝来の虎の絵と、中国から来た虎の毛皮しか見ることができなかった。特に多くの画家は虎の毛皮を参考に描いたという。だから、毛並みは非常の写実的なのだけれど、毛皮は、乾燥する段階で
目があった部分の穴は大きく、耳は小さく、顔は平面的に、
なる。だから、虎の絵はみな、非常に大きな目と、小さな耳と丸い顔を持っている。
なるほど。

それから、若冲は鶏を写生して、鳥類の描き方を学んだ。だから、庭に数十羽の鶏を飼っていたという。さぞにぎやかだったことだろう。
そのせいか、一番の見物モザイクのような「鳥獣花木図屏風」でも、鳥類は非常に写実的、現実的なのに対し、動物は空想的、というより「キャラクター商品」的なかわいらしいものが多い。現実に目にできる鳥類の多様さに比べ、動物の種類は限られていた、ということなのか?
それにしても、プライスさんは、この絵を特注のタイルでお風呂場に再現しているという。しゃわーは白いゾウの鼻のあたりについているとか、ああ、うらやましい。

屏風の絵など、照明を変えて見せてくれる。薄暗い光、白っぽい光、赤っぽい光、絵は表情を変えていく。

男女がいちゃついていたり、それを横目で見ている男がいたり、すました顔の男がいたり、の三十六歌仙の掛け軸はおもしろかった。他にも百人のお福さんが鯛をさばいたり、俵を担ごうとしたり、雅やかにお琴を弾いていたり、という掛け軸。闇夜のカラスと雪の中の兎の屏風。
技術と遊び心あふれる絵がたくさんあっておもしろかった。

常設展も軽く見て、五時間ぐらいいました。
疲れた。